2024年2月3日(土)、「自然災害研究協議会中国地区部会令和5年度研究発表会」(主催:自然災害研究協議会中国地区部会、共催:地域レジリエンス研究センター防災・減災グループ、グローカル環境・防災学研究会)がWEB開催され、大学、民間企業、その他一般から63名が参加しました。自然災害研究協議会中国地区部会の研究発表会は2014年度(平成26年度)から実施しており、今回は10回目の開催となります。
山口大学地域レジリエンス研究センター防災・減災グループ長で中国地区部会部会長を務める鈴木素之教授の開会挨拶に続き、大学や企業から16名の研究者が防災・減災に関する国内外の最新の研究成果について報告を行いました。過去の研究発表会で中心であった工学系の研究発表に加え、保健学の視点での発表もあり、普段接点の無い研究者同士の交流の機会にもなりました。オンライン参加者からも質問が寄せられ活発な議論が行われました。
午後に開催された特別講演では、山口大学大学院創成科学研究科を定年退職され、現在同研究科の非常勤講師を務める村上ひとみ氏に「2023年トルコ・カフラマンマラシュ地震(M7.8)の現地調査:震度と被害分布」と題して講演いただきました。2023年2月6日に発生したトルコの大地震では、300kmの地震断層に沿って11県もの広範囲におよぶ被害が発生し、連続して2度目の地震が起こったことから、建物被害26万棟以上、死者5万人以上と被害規模も甚大であったことが報告されました。トルコでは建物の耐震基準はあるが施工の際に守られないケースもあり、そのことが建物被害を大きくしたことも指摘されました。被害状況の全体像を把握するためのアンケート震度調査については、昨年4月の現地での試行面接調査の結果をふまえ、昨年秋から小・中・高校の生徒の保護者を対象に1万人規模のオンライン震度調査を現地との共同研究プロジェクトとして実施し、現在解析を行っている最中とのことで、結果の発表が待たれるところです。また講演では被災者支援について、軍隊による大規模な応急テント村の設営や赤新月社による温かい給食の提供など、日本との違いが紹介されました。長年トルコの地震調査に関わってきた講師による多くの写真を用いた講演により、報道では知ることのできない現地の状況や社会背景等を知ることができ、今後、日本での地震被害軽減を考える上でも大変貴重な機会となりました。
発表者および演題 プログラムPDF
開会挨拶 部会長:鈴木 素之(山口大学大学院創成科学研究科)
第1セッション 座長:鈴木 素之(山口大学大学院創成科学研究科)
第2セッション 座長:梶川勇樹(鳥取大学工学部)
特別講演
【講師】村上ひとみ氏(山口大学大学院創成科学研究科 非常勤講師)
【演題】2023年トルコ・カフラマンマラシュ地震(M7.8)の現地調査:震度と被害分布について
第3セッション 座長:榊原弘之(山口大学大学院創成科学研究科)
第4セッション 座長:朝位孝二(山口大学大学院創成科学研究科)
閉会挨拶 前部会長:朝位 孝二(山口大学大学院創成科学研究科)
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